関連法規 設計上の留意(注意)点

薪ストーブ煙突に関連する主な法規と実際の運用について

内装防火設計について

薪ストーブを設置する部屋の壁や天井の仕上げに関すること全般

国土交通省告示第225号について

薪ストーブを設置する部屋の壁や天井を板張りで仕上げたい場合

建物に設ける煙突

煙突の設置に関する国内法規全般

不燃性能、不燃材料について

法規で言う、燃えない材料とは

火を使用する部屋の換気設備

薪ストーブが使う空気の吸気と排気のこと全般

内装防火設計について

これらの事柄は設置者であるユーザーの希望を設計施工に反映する目的でユーザー自身ではなく、薪ストーブ専門業者や建築設計者に委ねられ検討されます。

以下は住宅に薪ストーブを設置する部屋の壁や天井をどのような仕上げにしなければならないかという法規の要点を抜粋したものです。

内装防火設計の概要

火災が発生した場合に初期拡大を遅らせ、有害な煙の発生を少なくし安全避難ができるよう、建物の内装を制限する規定です。

薪ストーブを設置する部屋は台所のガスコンロなどと同様に火を使用する設備を部屋の中に設けるため、火気使用室と呼ばれ部屋に内装の制限があります。

適用対象となる建築物

①居室の内装制限

建築基準法施行令第128条の4

内装制限を受けないものは法第35条の2に規定する“内装制限を受けるべきもの”以外のものという文言で表現されています。

②避難・消防活動拠点の内装制限

住宅では階数が2以上の住宅の最上階以外の階にある火気使用室は内装材料(天井・壁)を準不燃材料ですることになります。

*兼用住宅を除く一戸建ての住宅は準不燃材による仕上げに準ずる仕上げ(平21国交告示225号)を含む。

内装制限の技術的基準

建築基準法施行令第129条

制限を受ける部分は壁及び天井(天井がない場合は屋根)に限定され床は除外

適用対象に応じて難燃材料(準不燃・不燃材料を含む)または準不燃材料(不燃材料を含む)が求められています。

①居室の内装制限

建築基準法施行令第129条

特殊建築物等の居室の内装

天井及び壁(床面から1.2mを超える部分)は難燃材料とする。

適用しない部分は床・幅木・腰壁(1.2m以内)・窓枠・窓台・廻り縁

地階の居室・無窓居室・火気使用室の内装は床面から1.2mの部分を含め準不燃材料とする。

内装制限の緩和

①自動式スプリンクラー設備等・排煙設備の利用

建築基準法施行令第129条第7項

②準不燃材料による仕上げに準ずる仕上げ

建築基準法施行令第129条第1項第2号ロ

平21国交告示第225号

薪ストーブによる熱の影響が大きい部分を計算し、“可燃物燃焼部分”を特定し内装仕上げ、下地を含め不燃材料で覆い、それ以外の部屋の内装仕上げに木材などの可燃材料を使用できます。

以上の緩和条件は

1) 一戸建て住宅であること

2) 火気設備が以下のものであること

  • ストーブ等 発熱量18[kW](1秒あたり)以下
  • 壁付暖炉 暖炉開口部幅100[cm]以内、高さ75[cm]以内
  • こんろ 1口の発熱量4.2[kW](1秒あたり)以下
  • いろり 長幅90[cm]以下

運用上の取り扱い

①露出した柱、はりの内装制限

柱、はりの室内に面する見付け面積が壁または天井の各面の10分の1以上は内装制限の対象

②火気使用部分とその他の部分が一体である部屋の内装制限

火源中心より1/2h以上の位置に不燃材料の垂れ壁を天井から50[cm]以上設けることで相互を区画する場合、火源の部屋のみを火気使用室とみなす。

*詳しく説明いたしますのでどうぞご来店ください。

国土交通省告示225号について

内装制限を緩和

この告示は薪ストーブを設置した周辺とそこから離れた部分では着火のリスクに違いがあることに着目し、薪ストーブ周辺のリスクが高い部分を計算で範囲を特定し、特定不燃材料による内装の強化や遮熱壁を有効に設置することでそれ以外の部分については木材や難燃材料での内装仕上げを許容するものです。

適用建物は条件を満たした上で、壁や天井を板張りなどで仕上げることや化粧の桁や梁が多く露出する住宅などへの薪ストーブの設置も出来るようになります。

「準不燃材料でした内装の仕上げに準ずる仕上げ」を定める法規となります。

平成21年国土交通省告示第225号の適用対象となる建物とは?

・内装防火設計を使用とする建物は一戸建てである。

・一戸建て住宅は2階建て以上である。

・内装防火設計を使用とする火気使用室は最上階以外である。

・兼用住宅でない、もしくは住宅以外の床面積の合計が2分の1以下で50㎡を超えない。

・無窓居室がない

以上の条件で内装防火設計を選択することができます。

ただし、使用する火器が薪ストーブの場合、

・1秒間あたりの発熱量が18[kW]以下であること。

・壁と薪ストーブ外面との最低離隔距離。

・遮熱板に必要な空気層25mm以上。

・遮熱板は特定不燃材料(不燃材の内、9.アルミニウム 11.ガラスを除く)

などの規定があります。

薪ストーブの設置位置にもよりますが、国土交通省告示第225号適用建物であって計算で求めた可燃物燃焼部分を覆う遮熱壁は内装制限の技術的基準に従って設計されたものより、高く、範囲も広くなる傾向にあります。

設計に反映するには次の事柄が確定します。

・薪ストーブを設置する部屋の内装(壁、天井の仕上げ)や化粧梁の露出度など。

・薪ストーブの機種が決まること。

・薪ストーブの設置位置が決まること。

・煙突の芯が決まること。

・遮熱壁の規模(高さや幅)が決まること。

当社においてはご来店いただき、ひとつひとつご相談しながら決定したことを計算し、作図をいたしますのでご相談ください。

建築物に設ける煙突

(建築物に設ける煙突)

建築基準法施行令第115条

建築物に設ける煙突は、次の各号に定める構造としなければならない。

一 煙突の屋根上突出部は、屋根面から垂直距離を60センチメートル以上とすること。

二 煙突の高さは、その先端からの水平距離1m以内に建築物がある場合で、その建築物に軒がある場合においては、その建築物の軒から60cm以上高くすること。

三 煙突は、次のイ又はロのいずれかに適合するものとすること。

イ 次に掲げる基準に適合するものであること。

(1) 煙突の小屋裏、天井裏、床裏等にある部分は、煙突の上又は周囲にたまるほこりを煙突内の廃ガスその他の生成物の熱により燃焼させないものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること。

(2) 煙突は、建築物の部分である木材その他の可燃材料から15センチメートル以上離して設けること。ただし厚さが10センチメートル以上の金属以外の不燃材料で造り、又は覆う部分その他当該可燃物を煙突内の廃ガスその他の生成物の熱により燃焼させないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いる部分は、この限りではない。

ロ その周囲にある建築物の部分(小屋裏、天井裏、床裏等にある部分は、煙突の上又は周囲にたまるほこりを含む。)を煙突内の廃ガスその他の生成物の熱により燃焼させないものとして、国土交通大臣の認定を受けたものであること。

四 壁付暖炉のれんが造、石造又はコンクリートブロック造の煙突(屋内にある部分に限る。)には、その内部に陶管の煙道を差し込み、又はセメントモルタルを塗ること。

五 壁付暖炉の煙突における煙道の屈曲が120度以内の場合においては、その屈曲部に掃除口を設けること。

六 煙突内の廃ガスその他の生成物により、腐食又は腐朽のおそれのある部分には、腐食もしくは腐朽しにくい材料を用いるか、又は有効なさび止め若しくは防腐のための措置を講ずること。

七 省略

2 前項第一号から第三号までの規定は、廃ガスその他の生成物の温度が低いことその他の理由により防火上支障がないものとして国土交通大臣が定める基準に適合する場合においては、適用しない。

不燃性能、不燃材料について

平成16年9月29日国土交通省告示1168号

建築基準法施行令第115条第一項第三号イ819に規定する煙突の上又は周囲にたまるほこりを煙突内の廃ガスその他の生成物の熱により燃焼させない煙突の小屋裏、天井裏、床裏等にある部分の構造方法は、次の各号のいずれかに適合するものとする。

1 不燃材料で造り、かつ、有効に断熱された構造とすること。

2 金属その他の断熱性を有しない不燃材料で造った部分にあっては、次のイ又はロに掲げる基準に適合していること。

イ 煙道の外側に筒を設け、その筒の先端から煙道との間の空洞部に屋外の空気が有効に取り入れられる構造で防火上支障がないものとすること。

ロ 断熱性を有する不燃材料で覆い、有効に断熱された構造とすること。

(不燃性能及びその技術的基準)

建築基準法施行令第108条の2

法第2条第9号の政令で定める性能及びその技術的基準は、建築材料に通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始20分間次の各号に掲げる要件を満たしていることとする。

1. 燃焼しないものであること。

2. 防火上有害な変形、溶融、き裂、その他の損傷を生じないものであること。

3. 避難上有害な煙又はガスを発生させないものであること。

(不燃材料を定める件)

平成16年9月29日 国土交通省告示第1178号による改正

建築基準法施行令第108号の2各号(建築物の外部の仕上げに用いるものにあっては、同条第一号及び第二号)に掲げる要件を満たしている建築材料は、次に定めるものとする。

1 コンクリート 2 れんが 3 瓦 4 陶磁器質タイル 5 繊維強化セメント板 6 厚さが3ミリメートル以上のガラス繊維混入セメント板 7 厚さが5ミリメートル以上の繊維混入ケイ酸カルシウム板 8 鉄板 9 アルミニウム 10 金属板 11 ガラス 12 モルタル 13 しっくい 14 石 15 厚さが12ミリメートル以上のせっこうボード(ボード用原紙の厚さが0.6ミリメートル以下のものに限る。) 16 ロックウール 17 グラスウール板

火を使用する部屋の換気設備

建築基準法第28条第3項の規定により政令で定める部屋は次に各号に掲げられるものとする。

建築基準法施行令第20条の3

2 建築物の調理室、浴室、その他の部屋でかまど、こんろのほか火を使用する設備又は器具を設けたものに設ける換気設備は次に定める構造としなければならない。

一 換気設備の構造は、次のイ又はロのいずれかに適合するものとする。

イ 次に掲げる基準に適合する。

(1)給気口は、換気設備を設けるべき調理室等の天井の高さの2分の1以下の高さの位置に設けること。

(2)排気口は、換気設備を設けるべき調理室等の天井の高さから下方80センチメートル以内の高さの位置に設け、かつ、換気扇等を設けて、直接外気に開放し、もしくは排気筒に直結し、又は廃棄上有効な立ち上がり部分を有する排気筒に直結すること。

(3)給気口の有効開口面積は吸気等の有効断面積は、国土交通大臣が定める数値以上とすること。

(4)排気口又は排気筒に換気扇等を設ける場合にあっては、その有効排気量は国土交通大臣が定める数値以上とし、換気扇等を設けない場合にあっては、排気口の有効開口面積又は排気筒の有効断面積は国土交通大臣が定める数値以上とすること。

(5)省略

(6)省略

(7)省略

(8)直接外気に開放された排気口又は排気筒の頂部は、外気の流れによって排気が妨げられない構造とすること。

ロ 火を使用する設備又は器具の通常の使用状態において、異常な燃焼が生じないよう当該居室内の酸素の含有率をおおむね20.5パーセント以上に保つ換気ができるものとして、国土交通大臣の認定を受けたものとすること。

二 給気口は、火を使用する設備又は器具の燃焼を妨げないように設けること。

三 排気口及びこれに接続する排気筒並びに煙突の構造は、当該居室に廃ガスその他の生成物を逆流させず、かつ、他の部屋に廃ガスその他の生成物を漏らさないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること。

四 火を使用する設備又は器具の近くに排気フードを有する排気筒を設ける場合においては、排気フードは、不燃材料で造ること。